社畜ならぬ院畜となり薄給で馬車馬のように働かされていて「こんなはずじゃなかった。そうだ。独立しよう!」と思い立ち準備をしているあなたにたった一つだけ伝えたいことがありペンを走らせています。
タイトルの通りなのですが、クリニックを開業するか否か判断するために最重要なのはあなたに集患する実力があるかどうかです。
開業の際は、
- 資金調達(銀行借り入れ)
- 店舗の立地
- 物件探しや家賃交渉
- 外装や内装、備品購入
- 調剤薬局との提携
- スタッフ採用
- 役所等への開業手続き
- 医師会加入
- 初期の宣伝広告
これらの事が頭をよぎってコンサルタントを探したり、あるいはネットや書籍で医院開業に関する情報を集めていると思いますが、これらは枝葉末節の話であって本幹ではありません。
開業したクリニックを初年度から黒字化させ最短で累損解消し、その後も利益を上げ続けるためには新患を獲得し続ける事ができるかどうか、ただこの一点だけが重要なのです。
先輩開業医に聞いていただければ分かると思いますが、どんなにすぐれた立地でもどんなに真摯に患者と向き合ってもリピーターは徐々に減っていきます。大都市のクリニックなどは毎月の新患が7割を超えることはザラですのでリピーターをあてにして経営することは無謀です。
クリニック経営で大事なのは永続的な新患の獲得です。それ以外に成功の秘訣はありません。
唯一の例外はあなたがスーパードクターである事です。もしあなたが「私は日本一の〇〇専門医だ」と自信を持って言えるのなら今すぐこの記事を閉じてしまって構いませんが、そこまでの自信がないのならこの先を読む事に価値を見出せるかも知れません。
ライバルが後から進出してくることもあるので立地は「ほどほど」でOK
開業時に多くの人が考えるのが立地の事だと思います。
確かに立地が良ければ患者さんが集まりやすいのは事実なのですが、立地が良ければ良いほど家賃が上がりますので固定費が高止まりして思ったような利益はあげられませんし、駅前に立地していて患者が集まるのは最初だけです。その後はシビアに腕前を見られてしまいますので。
それに、いくら立地が良くても5年後に駅の反対側に大きな商業施設が出来て人の流れが変わってしまうことも多々あります。
入念にリサーチして「よし。この周辺にはライバルとなりそうな同一科のクリニックがないからイケる!」と思っても、3年もしないうちに新規参入があるかも知れません。
集患倶楽部で開業の相談を受けた場合決まった答えがあります。それは、「立地は悪くなければ良くなくても大丈夫です。立地で勝負は決まりませんので。」というアドバイスです。
立地が全く関係ないとまでは言いませんが、立地は「行列のできるクリニック」の必須条件ではありません。
ライバルの進出等で立地が逆にハンデになるかも知れませんし、大家が突然外国人になり家賃を1.5倍にされたり、隣にガラの悪い連中があつまる店舗が出来てしまい患者さんがおびえて近づかなくなる事だってあります(実話)。
参考までにですが、立地を決める際に一番頼りになるのは立地系のコンサルタントではなくサラリーマン大家、つまり不動産投資で成功している人たちです。知人のつてをたどって不動産投資で成功している人に相談するのが一番です。
私も不動産投資をやっていてアパート経営していますが駅前の物件にはまず手を出しません。上手く行くこともあるかも知れませんがリスクが高すぎるのです。
常に再開発の動向を見ていないといけないし駅前はみんなが狙っていますので不確定要素が強すぎてよほどハートが強くないと手を出すべきではありません。駅前に手を出すのはただの博打です。
不動産投資は適正価格(路線価以下)で購入することも重要ですが、もっと大事なのが「ここに客付けできるのかできないのか」という点です。駅から遠くても住む人はいくらでもいますので、立地などどうでもよくて、大事なのは「客付けしてくれる不動産屋さんと仲良くできるかどうか」です。
不動産屋さんがこっちを贔屓してくれないと客付けしてくれませんので、物件を探す以前の問題として良い不動産屋さんと出会えるかどうかが不動産投資の必勝法です。※不動産セミナーの講師ってウソ付きばかりです(独り言)
クリニックの立地判断も同じです。駅から遠くても駐車場が整備されていれば患者さんは来ます。逆に駅から近いと駐車場がないので敬遠する患者さんだっています。
不動産投資家はそのあたりを非常にシビアに見て現実を知っていますので、立地系の開業コンサルタントよりよほど頼りになります。たとえクリニックの開業経験がなくてもです。
不動産投資家にクリニック外業の相談をした際、真っ先に聞いてくるのは「えっと、集患できる根拠を教えて下さい。それがあれば立地はどこでもいいと思いますよ。根拠がなければ駅前であっても開業はしないほうがいいと思いますよ。」です。冷酷にサラっと言うと思います。
それ(集患できるか否か)以外に彼らには興味はないのです。利回りが全てですので客(患者)を引っ張れないならハイリスク承知の上で駅前に開業するしかありませんからね。
それと、開業医で成功した方が必ずと言っていいほど手を出したくなるのは不動産投資です。開業医として成功した後に不動産投資の知識は必ず活きてきますので一石二鳥だと思って不動産投資の勉強をしてみてください。
そして、不動産投資のレンズからご自身のクリニックの立地をどうしたらいいかを考えてみると良いと思います。少なくとも駅前や都心への開業にこだわる必要がない事は理解できるはずですので。
開業前の1年間ホームページを運営して自分に集患能力があるか確認しよう
クリニックを開業しようと動き出すと多くのコンサルタントが群がってきます。
大学病院などで働いていると信じられないくらい忙しいと思いますし、お金を払ってでも誰かに代行してもらいたいという気持ちは分かります。しかもいやらしいことに声を掛けてくるコンサルタントたちの多くが無償で動いてくれます。
なぜなら彼らの本当の狙いはバックエンド商品を買ってもらう事だからです。医薬品だったり医療機器販売だったり、あるいは薬局を運営しているオーナーが絡んでいたりでなかなかやっかいです。
とはいえ、これらの開業コンサルタントと付き合うなという話ではなく、それらの開業準備はいったん忘れてまず自分が本当に経営していけるか。つまり患者さんを永続的に獲得できるのかを真剣に考えるべきです。
お祈りしていても患者さんはやってきません。立地が良くても患者が来るのは最初だけです。そんな非ロジカルな事ではなく、医療と同じで、
「〇〇のときは△△をやって□□を〇日分処方する」
みたいなちゃんとしたロジックが集患には存在しますので、それをモノに出来そうなのかどうかで開業をするかどうか判断すべきです。
その試金石となるのコンテンツマーケティングと呼ばれる集客(集患)施策です。横文字にすると何だか小難しそうですが、要は潜在患者の心に響く医療情報をホームページ上から定期的に発信する事で、それができるかどうかを開業前に試して欲しいのです。
集患で重要なのは1にも2にもライティング力なので自分に人を引き付ける文章を実際に書けるのかどうかを自分自身で知ってほしいのです。
開業後の事を考え、今からドメインを取得しレンタルサーバーを契約してホームページを立ち上げてそこでライティングを試すのがベストです。全ては資産として残るのでやる価値は十二分にあります。Amebaブログやnoteなどでブログを作るという手もなくはないですが、資産として手元に残らないのでもったいないです。
ホームページ制作業者は、毎月の管理費を請求してきますのでボディーブローのように経営に響いてきますので自力で運用するのがベストなのです。医学部に合格した頭脳があるあなたならホームページのプログラミングを覚えることなど容易なはず。
勝ちたいのか勝ちたくないのか。勝ちたいなら自分で勉強してホームページを立ち上げるべきだし、勝ちたくない、あるいはお祈りしていれば患者さんがやってくると信じているならどこかの宗教に入ればいいと思います。
※ホームページの立ち上げ方は当サイト内で随時解説していきます
ホームページは外見ではなく中身(コンテンツ)がすべて
クリニックのホームページはいくらデザインが完璧であっても中身(コンテンツ)を定期的に更新していかなければ集患の役には立ちませんので、あなたがいま気にすべき事は医者として患者の役に立つコンテンツ(医療情報)を発信できるかどうかです。
発信できれば集患は必ず成功しますし発信できないなら立地など非ロジカルな部分に運命をゆだねるしかありません。
「人生にたまたま成功するなんてことはありえない」
と言ったのはアーノルド・シュワルツェネッガーですが、集患もまさにそうです。看板広告を戦略的に立てようがテレビに出ようが雑誌に出ようが本を出そうが、そんなものでは集患できません。SNSで有名になっても患者さんはやってきません。
とにかくコンテンツマーケティング(当記事の下にコンテンツマーケティングを説明する記事へのリンクを貼っておきます)を覚えてほしいし、それができるかどうかを開業前に試して欲しいのです。
1記事4000~8000文字必要になります。記事タイトルとディスクリプションを魅力的なものにし、リード文で読者を引き付けて流れるように本文を読ませるようにする一連のライティングテクニックは作家でもある私が当サイト内で全て説明していきますので、開業前にぜひトライしてみてください。
コンテンツは品質が全てですので、最初は2か月かけて1本目のコンテンツ(医療のお役立ち記事)を作成し、2本目は書き上げて公開するまで1か月半、3本目は1か月、という感じで少しづつライティングの速度を上げていき、ゴールは2週間で1記事書き上げることです。
それを1年しっかりと続けられるなら開業後に集患で困ることはないでしょう。今はとても忙しいと思いますが開業してからも忙しさは変りません。開業後に一番大変なのは労務管理です。ほんと言うことを聞いてくれませんので毎日悩み苦しむと思います。つまり開業後も十分に忙しいのです。
ですので、今この時点でホームページの立ち上げにトライする理由として「忙しさ」を挙げるならあなたは開業に必ず失敗するでしょう。断言しておきます。
あなたより忙しい人はこの世に山ほどいます。「忙しいからできない」は理由になりません。それでも「忙しい」を連呼して事前の集患トライを拒否するならあなたは勤務医の方が向いていると思いますので、開業は諦めたほうが人生ハッピーになると思います。
まとめ
1年間真剣にコンテンツマーケティングによるテスト集患にトライしてみて、優れた医療記事(コンテンツ)を40記事書き上げる事ができたならクリニックを開業した後に集患で困ることはないと思いますが、「忙しい」「ライティングセンスが自分にはない」という方は、よほどラッキーでない限り借金を抱えて倒産してしまうと思います。
団塊の世代が70歳を迎える2025年をピークに医療機関は淘汰の波にさらされます。しかし、集患の仕組みをしっかり作っておけば何も怖くありません。
目標は2週間に1記事、お盆や年末年始などの休暇を考慮して年間で40記事書き上げられる力があるなら過疎地の山奥にクリニックを開業しても患者さんを集めることはできます。
ホームページを自力で立ち上げられるようになるのが理想ですが、大切なのはホームページ開設ではなく「運用できるかどうか」ですので、億劫ならクラウドソーシングサービスでホームページを立ち上げまでをやってもらってもいいと思います。
年間40記事書き上げる事を目標にして開業し、それを10年続けたら400記事になりますので集患において無敵になれます。
集患の方法は他にもあることは確かですがコンテンツマーケティングの威力を考えた場合、他の施策は一切手を付けないでも大丈夫なくらいですし、看板広告などを全部やめてしまっても全く問題ありません。
自力でホームページを運用する事がどうしてもできそうにないのであれば開業で成功するのは博打だと思って下さい。運が良ければうまくいくでしょうし運がイマイチなら借金抱えて倒産しどこかの病院に雇ってもらうことになろうかと思います。
いったん全ての事(立地とか開業資金とか)を忘れ、集患の確固たるロジックをものにしてから開業するか否かを判断して欲しいのです。孫氏の兵法と一緒で「戦わずして勝つ」が必勝法です。40記事書き上げる実力があれば勝ったも同然なので臆することなく戦場に出向いて下さい。