開業時にクリニック名を適当に決めてしまうと集患で損して大後悔しますよ?というお話をいたします。決して脅しではないです。集患において医院名は本当に重要ですので。
結論を先に言うと、クリニック名には地域名を必ず入れてください。プレスして「絞った」専門を入れて下記のような名称がGOODです。
〇 なんば股関節クリニック
〇 首のクリニック博多天神
〇 生活習慣の病院函館
逆に、良さそうでイマイチなのが下記の医院名です。
△ 札幌消化器クリニック
△ 高松血液病院
そして集患的にもったいなさすぎるのが下記のような(名前+クリニック)医院名です。これから開院するなら絶対に避けて欲しいです。
× 鈴木医院
× 小林病院
なぜこのような事が言えるのか集患の文脈で理由を解説していきます。
絶対に逃してはいけないのはGoogleマップからの集患
昔と違い、今はオンライン(web)からの集患の比率が7割近くに到達していて、そう時間がかからないうちに8割に到達する日がくるかも知れません。そしてこの流れが後退する事は考えにくいと思います。人類がスマホを捨てる日はもうこないでしょうからね。
マーケティングの世界ではカスタマージャーニーという言い方をしますが、要は患者が医療機関に来院する際にどのような心理状況でどのようにして情報を探すのかを可視化したものをカスタマージャーニーと呼びます。私のように一般企業でマーケティング担当をやっているとウザいくらい会議で出てくる言葉です。
カスタマージャーニーを作っていくと、来院する直前の患者さんは
病名+地域名(駅名や市町村)
科名(皮膚科とか)+地域名(駅名や市町村)
このような感じで地域名を入れて検索する事が大半です。たとえば「米子駅 整形外科」とか「偏頭痛 静岡市内」みたいな感じで医療機関を探します。
自分なりに調べた結果自分の悪い部分(疾病)はだいたい把握できているので、後は場所を基準に医療機関を探すのが「今すぐ客」の特徴というわけです。
どこかの医療機関に行くことが決定しているわけですから絶対に取り逃したくない患者さんですよね。
これが例えば「水虫 原因」とか「生理痛 対処法」などのキーワードで検索している人は、医療機関に行くことはまだ決めておらずその手前の情報収集の段階なので、しゃかりきになって自院に引っ張る必要はないし、引っ張るのはテクニックが要ります(当サイト内で別途説明します)。
医療機関に行く事をまだ決定していない患者さんの特徴は検索キーワードに地域名を入れないという特徴があります
当然ながら来院の可能性が高いのは「今すぐ客」ですので、あなたの医院が立地している地域名や駅名が医院名に含まれているか否かでチャンスの広がり方が全然違うわけです。従って、地域名や駅名をクリニックの名称に入れ込む事で「キーワード一致」により検索結果で上位表示しやすくなりますので集患上有利に働くということです。
例えば「SKCクリニック」という名前を見た場合、患者さんはそれがどこにあって何を専門にしているか分かりませんよね。ですので、院長であるご自身の名前をつけて「佐藤クリニック」とか「鈴木医院」としてしまうと集患上大きな欠点を抱えてしまうわけです。
「マップ」にビジネスチャンスを感じているGoogle
ここからGoogleマップのお話をします。
インターネット検索の順位を決定しているのはGoogleです。YahooもGoogleの検索エンジンを使っていますので、iPhoneで検索した場合でも95%くらいがGoogleの検索結果を見ていることになります。
そのGoogleは、特にここ1年くらいの間にGoogleマップを非常に重要視するようになりました。専門用語で「ローカル検索」と呼びますが、ある特定の地域で探し物をネットで行っている人の利便性を大きく向上して末永くGoogleを愛してもらうために「地図」を重要視するようになったのです。要は「(ビジネス的に)地図おいしくね?」とGoogleが思っているという事です。
試しに、「泌尿器科 あなたの最寄り駅名」とか「あなたの市町村名 胃痛」などで検索してみて下さい。検索結果より上にGoogleマップが表示されていると思います。このGoogleの3位以内に表示されるか否かで集患の成果は大きく変わってしまうので、駅名か地域名を入れるのは大変重要です。
特に決して大きいとはいえない駅の周辺に開業している場合、駅名を入れると入れないのとではGoogleマップへの表示結果にも影響が出ますので必ず駅名か地名を入れることをおすすめします。
通常のGoogle検索と違って1位のクリック率が高いわけではありませんので、Googleマップでは3位以内に入っていればOKです
例えば、
みたいな感じが良いでしょう。ただし、腎臓や消化器などは患者がその臓器が意味するところを知らない事が多いので注意が必要です。
例えば良くある名前で
このようなネーミングだと、医療関係者からすると何を専門としているのか一目瞭然ですが、健康診断で「腎臓に問題があるかも知れません」と言われるまで一般の人は腎臓が何をやっている臓器なのかほとんど知りません。
消化器も、胃腸くらいはすぐに思いつきますが肝臓や膵臓くらいになると怪しくなってきて、肛門が消化器だと知っている人は少ないです。「肛門って肛門じゃね?」みたいな感じです。
それと、消化器は範囲が広すぎて「専門感」が患者側に伝わりません。じゃあどうしたらいいのでしょうか?に次節で答えます。
専門を絞るほど集患につながるが医療広告ガイドラインには要注意
一般的に患者さんは「専門家」に弱いです。従ってネーミングを絞れば絞るほど集患に有利で、間口を広げれば広げるほど集患に失敗します。
今一番集患で苦戦しているのは中小の総合病院です。経済学をかじっている人なら理由はすぐに分かると思いますが、経済成長が続いている時は「中間層」が生まれ消費が最大化するので幅広く何でもできる百貨店的な所に多くの人が集まります。病院であれば総合病院が「百貨店」に該当します。
しかし、経済の成長が止まると二極化が始まります。今の日本がまさに二極化の最中で中間層をメインターゲットにしていた中小の総合病院はよほど戦略をひねらないと集患はどうにもならないです。
名の知れたスーパードクターが一人在籍していればなんとかなりますが、スター医師不在の中小の総合病院は淘汰の波にさらわれる運命にあります。これは病院の努力とかに関係なく自然の摂理みたいなものです。
病床数19未満のクリニックも「消化器」だと幅が広すぎて二極化の中央付近に位置してしまうので自動的に苦戦します。内科クリニックも当然苦戦します。
じゃあどうしたらいいかというと、専門は「首」とか「指」などに絞ることを集患倶楽部ではおすすめしています。
ただし腎臓や膵臓みたいな一般の人には機能が分かりにくい臓器はコンテンツマーケティングを仕掛ける必要がありますのでここでは説明を割愛します。
全国的にちょくちょく見かけるようになりましたが「肌のクリニック〇〇」というのは良いネーミングです。
実名出して恐縮ですが、秀逸なネーミングをたまたま見つけたので良い事例として紹介させていただきます。もし「やめてほしい」ということでしたらお問い合わせからご連絡ください。
赤ちゃんのあたまのかたちクリニック
一瞬で何が専門か分かる素晴らしいネーミングです。ここまで絞り切れていると地名や駅名は不要です。よく考えついたなあと。
マーケティングファネルという言葉をご存じでしょうか。ごくごく簡単に説明すると「対象を広げると人は集まるけど誰も買わない。対象を絞る多くは集まらないけど購入率が上がる」みたいな人の心理を利用した販売モデルです。
赤ちゃんの頭の形を気にしている人は全国的に見ても数は決して多くはないと思います。でも、赤ちゃんの頭の形で悩んでいるがここのクリニックを見つけたなら沖縄や北海道からでもやってくるでしょう。
マーケティングファネルを理解し「赤ちゃんのあたまのかたち」にまで絞り込んだのはすごい勇気だし、恐らくマーケティングの勉強をされている院長先生なのだと推察いたします。
- 指のクリニック
- 足の甲のクリニック
- ふくらはぎクリニック
- 肩の病院
このような感じで専門を絞れば絞るほど集患が有利になり、これらを言語化すると以下になります。
- 専門を絞らない=立地地域中心に集患=ライバル院開業でピンチになる
- 専門を徹底的に絞る=全国から患者が集まる=ライバル院はほぼ現れない
ただし、一度絞ってしまうと変更はなかなかできないので「自分は何に一番興味があるか」を真剣に考えて下さい。興味がないと勉強しませんので「得意」より「興味」で専門を選んだほうがいいと思います。
「ヒザには詳しいけど僕が興味があるので手首なんだよな、本当は」
というなら「手首のクリニック」のほうが間違いなく将来性があります。興味があれば海外にでも勉強に行くでしょうし暇さえあれば学会に参加して雪だるま式に知見が増えていきますが、「得意だけど興味はいまいち」だと勉強を怠り先細りしてしまうのは明白ですので。
医療広告ガイドラインには注意が必要
一点注意があります。医療広告ガイドラインでは「専門」とか「センター」という名称は付けてはいけない事になっていますので、
みたいなのはNGです。「これで大丈夫だろうか」と疑問が沸いた場合は当サイトのお問い合わせからご連絡くだされば調べて回答いたします。
あるいはYahoo!知恵袋とかで質問しても答えてくれる人はたくさんいますので、良いネーミングを考えてみてください。
バッチリはまれば田舎に開業しても患者さんは全国から集まりますので固定費(家賃等や人件費)も抑えられて一石二鳥です。
GoogleやYahooで最重要なのは「指名検索」である事を考慮しよう
集患の秘訣は「どれだけドメインを強くするか」にかかっています。ドメインは当サイトであればsyuukan.clubの事を指します。URLとニアイコールですが細かく言うとhttps://を覗いた部分がドメインと読んでいます。
人間でいえば苗字みたいなものです。
※URLが氏名です
ドメインが強いとどうなるかというと、あなたの医療機関のホームページ内の多くの記事がGoogle検索で上位表示するようになります。例えば首の痛みについて書いた記事があったとしたら、「首 後ろ 痛い」と検索したら、ドメインが強ければあなたの記事が上位表示され多くの人がホームページを訪れ、その中から一定数が実際に来院してくれます。
つまり、集患において絶対にやっておきたいのが「ドメインを強くすること」なのです。ではどうすればドメインが強くなるかというと、色々とやるべき事はあるのですが最終的には「指名検索の数を増やす」のが最強の対策法になります。
指名検索とは、あなたの院名で多くの人が検索することです。例えば「SKC整形外科クリニック」という医院をあなたが経営していたとして、「SKC整形外科クリニック」とドンズバのキーワードで検索してくれる人の数が増えれば増えるほどドメインがどんどん強くなっていきます。
いまAmazonが世界的に強いのは「商品名+amazon」とAmazonを指名検索する人の数が圧倒的に多いからです。医療機関の集患で目指すべきゴールが指名検索なのです。いわゆる「ご指名」ってやつですね。
そのためには当然あなたの医療機関の名前を憶えてもらう必要があります。
当記事内で紹介した「赤ちゃんのあたまのかたちクリニック」というのはとても憶えやすいですよね。「表記ゆれ」といって、「あたま」が「頭」になったり「かたち」が「形」にあって「赤ちゃんの頭の形クリニック」と検索する人も一定数いると思いますが、Googleは賢いので「これらは同一である」と認識して「指名検索された」とプラス評価します。
要は、覚えやすい名前にすると集患に有利ですよ、ということです。「覚えやすい」でイメージがしにくいなら「覚えににくい」で説明を加えてみます。下記の院名はどうでしょうか?
地名も入っているし、絞り切れていないとはいえ一応専門となる部位も入っていますが、これだとまず覚えられないしどこに立地しているのか今一わからないですよね。
仙台駅東口顔肌クリニック
松江インターチェンジ股関節病院
このほうがグッドだと思います。ただし「グッド」ではまだまだ集患的には苦しいので「グレート」なネーミングを目指して日夜考えてみてください。脳にかく汗は裏切りませんので。
集患がうまくいっていないなら名称変更を考慮に入れよう
「うちは開業後20年経過してて、どこにでもある院名なんですけど変更したほうがいいのでしょうか?」
という質問をいただく事があります。答えはYESでもありNOでもあります。
ドメインの話に戻りますが、ドメインがある程度評価されているのならNOです。変更によるSEO(検索結果)のリスクが発生してしまいますので。
しかし、10年以上ホームページを更新せずほったらかしにしていて集患に行き詰まりを感じているなら専門を絞る事が可能かどうかまず考えてみてください。
眼科なら「冬の終わりからGW前までに1年分稼いでみせる!」と決断して花粉症専門に絞ったり、皮膚科なら「爪水虫に人生を注いでやる!」として爪水虫に専門を絞ったりできるかどうかの自問自答です。
要は「どうせジリ貧だから最後ヒト勝負してやろう!」という背水の陣が出来るかどうかです。もちろんその分野に詳しくないといけないので、「肘には詳しくないけど肘痛専門の整形外科は国内にはほぼないから肘で行こう」だと成功しないと思います。
専門の方向性が決まったらネーミングを考えていきましょう。
みたいな感じで案を出していき、他院とかぶっていないかGoogleYahooで検索し、念のため商標も確認しておきましょう。
ただし、できればドメインは変更しない方が良いでしょう。なぜなら20年も医院を続けているなら地元の医師会や医療機関検索サイトなどからリンクがついている可能性があるからです。
ドメインの強さは非リンクの質と数に大きく影響するので、せっかく付いているリンクを外すリスクは無視できないのです。
まとめ
内科クリニック、的な感じで患者を絞らずに開業された方なら痛いほど実感していると思いますが、間口を広げてロケットスタートするのは不可能です。
「新しいクリニックが出来たからかかりつけ医をここにしよう」
と決断する患者はほとんどいないということです。
開業する際は、事前準備に関する記事を読んでいただき、自分の専門に関する医療記事を書ききれることを確認してからネーミングを考えるようにしてください。
多くの場合、専門を絞ったとしても集患にとって最需要なコンテンツマーケティングで躓いてしまい先に進めなくなってしまいます。
開業はロジックありきです。コンテンツマーケティングを実践でき秀逸なネーミングが決まったなら迷う事なく前に進み、コンテンツマーケティングかネーミング(専門決め)のどちらかで躓くようなら開業は諦めたほうが賢明です。
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