インタビューを受ける医師

病院広報誌サンプル【前編】医療連携している紹介元のクリニックを主役にしよう

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事前説明
当記事は病院広報誌前編のサンプルです。「Vol.21」となっていますが、雰囲気を出すためで、20や22が当サイト内にあるわけではありません。

前の記事で述べたように、病院広報誌は前編後編の二部構成とし、前編は当記事でサンプルを示すような形で、広報誌を発行する側の理事長、あるいは院長がインタビューアとなって医療連携の紹介元となるクリニックの院長を取材する内容がベストです。

例えば、この記事を読んでいるあなたが医療事務で広報担当をやっていた場合、病院広報で有名な人から「インタビューさせてください」とオファーがあったら、あるいは巨大病院の事務長から「広報の秘訣を教えていただきたいのですが」と声を掛けられた時などを想像しながらサンプルインタビュー記事を読んでみて下さい。

以下サンプルに入ります。中核病院(地域医療の中核となっている空想上の総合病院)のSyuu!という広報誌でSKC内科クリニック(中核病院へ患者を紹介する地域医療連携の空想上の紹介元)の院長をインタビューするという設定にしてあります。

中核病院広報誌「Syuu!」Vol.21 前編

SKC内科クリニック石川院長

中核病院理事長
こんにちは。中核病院理事長の鈴木です。

今日は、日ごろから地域医療連携で大変お世話になっているSKC内科クリニックの石川院長を訪ねて、〇〇地域住民の医療へのかかわり方や専門領域などについてお話を伺いたいと思います。

中核病院とSKC内科クリニックさんとはかれこれ20年以上おつきあいをさせていただいています。

  • かかりつけ医として病原にあたりをつけ適格な初診を行うのがSKC内科クリニックさん
  • 病気が発症して急激に健康状態が悪化している時は当院(中核病院)

このような連携を組んで〇〇地域の方々に最適な地域医療体制をとっております。

医療の世界には「後医は名医」という言葉があります。SKC内科クリニック石川院長の適切な診断があってこそ後医にあたる私たちが患者さんの病気を的確に診断することができますので、〇〇地域の頼れるかかりつけ医である石川院長の医療イズムにぐっと迫ってみたいと思います。

空想中核病院役中核病院役

石川院長よろしくお願いいたします。まず簡単で結構ですので自己紹介をお願いしてもいいでしょうか。私はもちろん石川先生の事はよく存じ上げているのですが、読者さんの中には石川先生のことを知らない方もいらっしゃると思うので。

紹介元院役紹介元院役

そうですね。せっかくいただいた貴重な機会ですのでありがたく自己紹介させていただきます。

私は、ここ〇〇地域の〇〇高校の出身で、医者になるために一時期地元を離れていましたが大学病院での研修医を経て、一度隣町の総合病院に勤務した後に生まれ育った故郷に戻ってSKC内科クリニックを開業しました。

息子と娘が一人ずついて、家内は大学病院で看護師をやっていました。いわゆる職場結婚ですね。今はSKC内科クリニックの看護師として働いてもらっています。

空想中核病院役中核病院役

大学病院から隣町の総合病院に移ったのはどのような理由があったのでしょうか?

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理事長もご存じのとおり、大学病院というところは閉鎖的で教授がウンと言わないと何も進まない世界です。教授の論文の手伝いもしないといけないし、手術の時は麻酔が効いていない最初と最後にだけ教授が患者の前に顔を出して、執刀は医局の他の医師が行ったりもします。

最初の頃はこれも仕方ないのかなと思っていたのですが、医局のNo.2だった先生が教授に異議を唱えたところ、その教授が退官する際の後任教授にNo.3だった先生を推薦してNo.2だった(異議)を唱えた先生は地方の総合病院に飛ばされてしまったんです。

そんな世界を目の当たりにして医局というものがイヤになり、外の空気を吸ってみようと思ってたまたま求人のあった隣町の総合病院にお世話になることになったのです。

空想中核病院役中核病院役

ほとんど白い巨塔の世界ですね。まあ確かに程度の差はあれ大学病院は閉鎖された古い体質ですし改善される見込みも薄いと私も思います。

ところで石川先生は大学病院での専門は何だったのでしょうか?

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専門は腎臓です。外科医だったので総合病院だと腎臓内科ではなく泌尿器科になります。

当時腎臓に着目していた医師は少なかったと思いますし、今でもその傾向はそれほど変わっていないと思うのですが、たまたま父が若くして腎がん(腎臓がん)で亡くなったので、腎臓を専門にしてみようと思ったのです。

空想中核病院役中核病院役

うちにも宮坂(広報誌サンプル後編で登場)というなかなか優秀な腎臓専門医がいるのですが「石川先生にはかないません」といつも言っています。

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いやいや何をおっしゃいますか。宮坂先生にもいつも大変お世話になっておりますし宮坂先生の方が医師として実力は断然上ですよ。

私はただあたりを付けているだけで「後は宮坂先生よろしく!」と大船に乗った気分で患者さんを理事長のところの連携室に紹介しています。

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そういう謙虚なところが石川先生の魅力ですよね。普通は「俺が俺が」となりますから。

それと「あたりを付けて」と先ほどおっしゃいましたが、これが一番難しいんですよ。

患者さんは「大きな病院だから大丈夫だろう」という期待を持って来院されるのですが、私たちもそうだし首都圏にあるような有名病院の専門医であっても初診患者を診て一発で病原を突き止めるのは至難の技です。というかまず言い当てることはできないです。

私たちが地域医療の中核病院として機能するためには、石川先生のような優秀な医師があたりを付けてくれるから「石川先生はこのあたりが怪しいと思っているのか。それならこういう検査をしてみよう」となるのです。

この辺の医療事情はなかなか患者さんには伝わらないのですが、〇〇地域の患者さんにはまず石川先生の所で診てもらってから紹介状を持って弊院に来ていただけると無駄な検査は減りますし患者さんに余計なお金を払わせないで済みますので双方にメリットがあると思います。

しかしいつも感心するのですが、どうやって患者さんの病気のあたりを付けているんでしょうか?学会や勉強会などへマメに参加されているのでしょうか?

紹介元院役紹介元院役

いえ、学会や勉強会に参加したことはほとんどありません。私が知識源として頼りにしているのは紹介した(理事長の病院の)先生たちからのフィードバックです。

「あたりを付ける」というのは、ただ仮説を立てているだけですのでその後の経過や結果が分からないと自分の仮説が正しかったのか検証しようがありません。

病院によっては簡易なフィードバックしかして下さらない場合も少なくないのですが、理事長のところはどの先生も非常に丁寧に紹介した患者さんの「その後」をフィードバックしてくださるので、そこから知識のヒントを得ています。ヒントがあれば自分でも勉強できますので

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ありがたいお言葉です。自分とこの病院の先生たちには感謝の気持ちを込めて紹介元へのフィードバックをしっかり行うよう指導してありますので、ちゃんと実践できていたということですね。

話は変わりますが、石川先生のところにはどういう患者さんが多くいらっしゃいますか?

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うちは小さな診療所ですので「何でも」ですね。2年くらい前のことですが「歯が痛い」という方もいらっしゃったことがあります。

「歯医者にいっても原因が分からないので」ということで来院されて困り果てましたが、私が腎臓が専門だったとこともあり理事長のところに紹介して宮坂先生(腎臓専門医)に検査してもらったら人工透析一歩手前だったという。本当に危ないところでした。

あと、普通に多いのは「なんとなく体調がすぐれない」という患者さんですかね。高齢化が進んでいる地域ですので少しでも心配になると来院されます。

空想中核病院役中核病院役

そういう時はどうされているんですか?

紹介元院役紹介元院役

ひたすら患者さんの話を聞くことに徹しますね。会話の中からヒントを得る、というより話を聞いて副作用の少ない漢方薬を処方することが多いです。

空想中核病院役中核病院役

話を聞くって大事ですよね。うちの病院ではなかなかそれができなくて。混雑して待ち時間が多いと患者さんもイライラするし、診察する私たちも「早く次の人を診てあげないと」と気持ちも焦ります。

でも、患者さんって「治してほしい」という気持ち以上に「話を聞いてほしい」と思ってらっしゃるんですよね。

紹介元院役紹介元院役

本当にそのとおりだと思います。「病は気から」じゃないですが、みんな孤独と戦っているんです。特に高齢者は。

ですのでうちの診療所では患者さんの話をさえぎらずにただひたすら聞いて、当たり障りのない漢方薬を出すようにしているんです。

本来なら何も処方せずにお帰りいただくのがベターなのですが、患者さんは「薬を処方してもらった。これを飲めば大丈夫。」という気持ちになれるますので。もちろん「薬はいらないと思いますがいかがしますか?」と意思確認は必ずとっています。

空想中核病院役中核病院役

先生のところでは在宅医療はされていらっしゃいますか?高齢者が多い地域だとニーズがあるのかなと。

紹介元院役紹介元院役

はい、やっております。診療所を休まないといけないので曜日を決めています。うちだと水曜日ですね。水曜日が一番来院数が少なかったので水曜日は外回りしています。

空想中核病院役中核病院役

在宅医療で気を付けている点があったら教えてください。

紹介元院役紹介元院役

来院される患者さんに接するときと同じで「とにかく話を聞くこと」これに尽きますね。

在宅医療をご希望の患者さんは高齢者の一人暮らしの方が大半ですので、誰とも会話しない日が1か月くらい続くことも普通にあります。

どんなことでもいいんです。むしろ病気のことよりも世間話やその方の想い出話などを相づちを打ちながらしっかり聞く、ただそれだけですね、心がけているのは。

空想中核病院役中核病院役

なるほどですね。私も独り身になったら石川先生に在宅医療してもらおうかな。

紹介元院役紹介元院役

何をおっしゃいますか。理事長くらいになれば人と会話する機会などいくらでもあるでしょう。

空想中核病院役中核病院役

何と言いますか、こんなこと言うと怒られてしまうか知れませんが、トップって孤独なんですよ。

うちの病院は優秀な先生や優秀な看護師・勤勉なスタッフに囲まれて大変ありがたいなとは思っているのですが、なんでしょうね。ここ数年人間らしい会話をしていないなあとフと思うことが多いんです。

私はただの人間ですので何か特殊な能力があるわけではありません。一人で解決できることは何もありません。みんながいてこその自分なので本当はもっとフレンドリーにやりたいのですがなかなか難しくて。

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理事長、(少し病んでいらっしゃるようなので)今度ゴルフにでも行きましょうか。そういえばもう10年くらいご一緒してないですよね。

空想中核病院役中核病院役

いいですね。ぜひお願いしたいです。ラウンド中に私のカウンセリングをしてもらえるんですか?

紹介元院役紹介元院役

それはお断りしておきます。勝負は勝負。ゴルフ場ではイチゴルファーとして理事長と全力で戦いますので。

空想中核病院役中核病院役

ハハハ、それも悪くないですね。では勝負といきましょうか!

クリニック情報
SKC内科クリニック(空想上の紹介元となる医院)
院長名:石川 聡
東京県西京市北1-2-3
Tel:03-1234-5678
診療科目:内科、泌尿器科

サンプルはここまで


広報誌サンプル前編まとめ

病院広報誌なのに、自院の紹介ではなく医療連携の紹介元となるクリニックの院長を主役にしたインタビュー記事をなぜ掲載すると良いのかという点を改めて整理いたします。

(サンプル後編を含めて)完成した広報誌を見たときに紹介元のクリニックはどう感じるでしょうか。そしてどのような行動をとるでしょうか。

よほどひねくれた先生でない限りは、自分の家族や友人にその広報誌を見せたくなりますよね。

なにせ総合病院の理事長が自分を宣伝してくれるような内容なので気分が悪くなるはずがないです。そしてまず間違いなくクリニックの待合室などの目が付くところに広報誌を置いておくでしょう。なんなら診察に来られた患者さん一人一人に配りたいくらいの気分になるはずです。

そして(これが一番大事なところですが)紹介元のクリニックは今まで以上に自分を取り上げてくれた総合病院側に恩義を感じ、今まで以上に積極的に患者さんを紹介してくれる可能性が高まると思います。

例えば紹介元の地域付近に大きな総合病院が2つあったとします。片や自分を持ち上げてくれた病院と片や特別なことを何もしてくれない病院のどっちに患者さんを紹介するでしょうか。まず間違いなく広報誌に自分を取り上げてくれた病院を紹介先として選びますよね。

それと、上記インタビューサンプル記事の中に「フィードバック」の話が出てきますが、この話は是非広報誌に取り入れてほしいです。

上記のサンプルでは紹介元のクリニックを主役にしている関係上自院をPRするような内容にはなっていませんし、PRしてもいけません。こういった広報活動は非常にデリケートなので欲張って空気感を壊すと全てが水の泡です。

でも、どこかで自院をアピールしたいでしょうしアピールはするべきです。

それが「フィードバック」のくだりです。紹介元のクリニックと密に医療連携している描写を見たときに広報誌の読者はどう思うか。きっと「この総合病院はとても丁寧なところだな」という好印象が残ると思います。

直接的な来院につながるかどうかは分かりませんが、みなさんの好きな言葉で説明するなら「病院のブランディング」につながるのはこういうディティール(細かい部分)なのです。「俺が俺が」ではなく「そお~っと間接的に」がポイントということです。

以上

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